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皆さんはロースクール(法科大学院)というものをご存知でしょうか?
法曹関係に進むことを考えている人以外はあまり気にしていないかもしれません。

そんなロースクールが行政書士試験にも少なからず影響を及ぼしているそうです。
今回はその点について、ロースクールの概要と併せて解説していくことにします。

 

⒈ ロースクールって何??

ロースクールは法科大学院とも呼ばれ、2004年から開校されました。
法律家の養成を目的とした教育機関ということで、原則として法曹(裁判官・検察官・弁護士)になるためにはロースクールを卒業しなければなりません。

弁護士って「司法試験」を受けるんじゃないの!?

そう思った方、鋭いです!

弁護士をはじめ、法曹になるためには「司法試験」という難関国家試験を受験し合格する必要があります。
その司法試験には受験するための要件があって、ロースクールを卒業する必要があるのです。

ロースクールを卒業→司法試験合格→司法修習→弁護士などで活動

簡単にまとめると、このような時系列になります。

 

 

⒉ 司法試験の受験回数には制限がある!?

ロースクールを卒業すると、晴れて司法試験の受験資格が得られるわけですが、卒業後何度も受けられるわけではないのです。
正確にいうと、司法試験を受けられるのはロースクール卒業後5年以内という制限があって、毎年受験したとしても5回が限度ということになります。

5回もチャンスがあるならば問題なさそう!
と思うかもしれませんが・・・

実際の司法試験の合格率は22.6%〜39.2%となっています。

半数以上の受験生が不合格になるという、厳しい試験なのです。
5回受験したけれど全て不合格だった、ということも珍しくありません。

ロースクールが開校した時には、「卒業生の8割が司法試験に合格できる」という謳い文句でしたから、5年もあれば大丈夫でしょ、ということだったのかもしれません。
ところが、実際に蓋を開けてみると合格率は2〜3割ほどという低水準になったわけです。
この5年ルールが、ロースクール生の足かせになってしまいました。

 

 

⒊ 保険の意味での「行政書士試験」受験

このように5年ルールがある以上、ロースクール生にとってみれば将来が約束されていない不安定な状態になっているわけです。

そこで、科目が法律科目メインで法律関係の仕事でもある「行政書士」が注目されることになりました。

司法試験の学習をしていれば触れることが多い「憲法、民法、行政法、会社法」は、行政書士試験でも主要科目となっています。
これらの学習をロースクールでやっているわけですから、かなりのアドバンテージがあることになります。

詳しいデータはありませんが、実際にロースクール生や卒業生の多くが「行政書士試験」を受けているそうです。
単に実力試しとして受験したり、司法試験がダメだった時の保険として受験したり・・・
ロースクール生にとっては受けない理由がないのかもしれません。

実際、行政書士として登録した(仕事をしている)人の中で、ロースクール出身の人が増えてきました。
私の場合は実際に聞いたりして確認するのですが、一般の人でも簡単に見分ける方法というものがあります。
「法務博士」という肩書をつけている人はロースクール卒業生です。

司法試験がダメだったから行政書士になった・・・
「そんなメッセージが見え隠れしているような気がして私はあまりいい気分ではありません(笑)」

実際にそう思っているかどうかは別にして、ロースクール生は厳しい環境だということは間違いないです。

 

 

⒋ 行政書士試験が難しくなった

直近の行政書士試験の合格率を見ると10.7%ということで、一昔前と比べると合格率は少し上昇しています。
これだけを見ると「易しくなった」という印象があるかもしれません。

ところが実際は逆です。

ロースクールの卒業生が増えてきた2010年頃から、行政書士試験の難易度はうなぎ登りです。
最近の行政書士試験は、難関といわれる司法試験や司法書士試験に匹敵する難易度の問題が出題されています。

6割取れれば合格という試験なので、実際にはこれらの難関資格と比較すること自体がナンセンスなのかもしれません。
ただ、問題を単体で見た時に、近年の行政書士試験がかなりの難易度になっていることがすぐにわかります。

合格率は上がっているのに、問題が難しくなっている・・・
これは矛盾するように感じるかもしれませんが、受験生全体のレベルが上がってきた証拠なのです。

ロースクール生や卒業生が増えてくると、それだけ法律知識を持った人が増えることになります。
しかも、その法律知識で行政書士試験に対応することができるのです。
そして、行政書士試験には司法試験のような「受験資格」がありません。
極端な話、6回以上受けてもいいわけです。

3で触れたように、実力試しや保険で行政書士試験を受ける人が多くなった今、行政書士試験のレベルの底上げがなされているのです。

 

 

⒌ 行政書士試験の受験生に伝えたいこと

これは純粋に行政書士試験を受験しようと考えている受験生にとっては脅威です。

司法試験を受験するような層が行政書士試験に流れ込んでいる状態ですから、その中で戦って合格を勝ち取らなければならないわけです。
法律の専門教育機関であるロースクールの学生がたくさんいる中で、上位10%に入らなければなりません。

よく行政書士試験は他の試験と比べても簡単だ、とか、人気がなくなってきた、などと言われます。

実情を知らない人が「データ」だけを見てそう揶揄するのでしょう。

ところが、実際は行政書士試験が難関資格の仲間入りをしている状況です。
中途半端な学習で受かるような試験ではありません。
そういう意見は完全に無視して、ひたすら試験合格に向けて学習を進めてください。

近年の行政書士試験は、想像以上に厳しい戦いになっているのです。

 

あとがき

ちなみに私は法学部卒業生ですが、ロースクールには行きませんでした。
司法試験の合格率を見る限り、いくメリットがどうしても見つからなかったんですよね・・・
弁護士になれるものであればなりたいですが、今のシステムではなかなか難しいです。

もし私が弁護士になるべく本気で取り組むのであればロースクールではなく予備試験のルートで司法試験合格を目指すことになるでしょう。
予備試験についてはまた別の機会に記事にしたいと思います。

 

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