連日のように日用品の「値上げ」がニュースで取り上げられています。
本来、物価が上がること自体は悪いことではないはずなのですが、収入がなかなか増えていない現状では暮らしが苦しくなる一方です。
これまで「お金」に関する常識といえば、コツコツと貯金をして備えることでした。
それが値上げが相次ぐ現在は変わってきています。
そのあたりを詳しく解説していきます!
値上げはインフレの始まり
「インフレ」という用語を聞いたことがあると思います。
一般にインフレとはモノの価値が上がってお金の価値が下がることをいいます。
つまり、商品の値上げがあった場合、その商品の価値が上がったことになりますので、インフレとなります。
そしてこのとき、お金の価値は値上げ前より下がったことになります。
例えば、日清キャノーラ油は2021年3月に270円でしたが、2022年4月には370円くらいになると予想されています。
去年は300円あれば買えたものが今年は買えなくなっているわけなので、お金の価値は下がったといえます。
インフレの原因は主に2つあります。
好景気でお金の回りがよくなっているとき、そして、原材料が上がっているときです。
現在の日本は後者によるところが大きいです。
(コストプッシュインフレといわれます。)
原材料が上がったことによる価格の上昇は、経済の活性化に繋がることもないので、一般的な消費者からするとマイナスの面が大きかったりします。
インフレの中でもあまり良くないインフレなのです。
4月は値上げラッシュ
原材料の高騰による値上げは様々な分野に及んでいて、今年の4月からは多くの商品で値上げが行われます。
代表的なものは・・・
・日清オイリオ キャノーラ油など
・雪印 チーズなど
・やおきん うまい棒
・パナソニック 家電製品
・電力大手7社 電気料金
この他にも5月からコカコーラ、6月から即席麺などが値上げされることが決まっています。
食用油が高騰していることからも分かるように、油を使った商品が軒並み値上げの対象になっています。
アメリカ等での価格高騰や輸送コストの増加なども影響しています。
現在はウクライナ情勢による影響もあって、今後も値上げの傾向が続くとも予想されています。
貯金だけでは不十分
老後の資金が2000万円必要だ、といった発言が飛び出したのが記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。
2000万円あれば安泰かというと、それはNOです。
今現在の状態で2000万円ほど必要というだけで、そこにはインフレの影響は入っていません。
現在のペースで値上げが続いていくと、家計の負担が増えることになるので、2000万円では聞かなくなってくる可能性さえあります。
老後資金や結婚などのイベントで必要になるお金は、これまで「貯める」ことで備えるのが普通でした。
ところが、インフレの傾向が高まってくると、「貯める」だけでは対応できなくなってきます。
現在の大手都市銀行の普通預金金利は0.001%です。
定期にしても0.002%ほど。
日清キャノーラ油の2021年3月価格、270円で考えてみます。
270円を銀行に預けておきます。
1年間預けておくと、270.0027円になります。
もちろん、端数は切り捨てなので、結局270円のままです。
仮に定期預金で10年間預けておいても270円です。
ところが、実際は1年間で油の値段は370円まで上昇しています。
預金をするだけだと100円の赤字になるのです。
油の価格上昇はかなり際立っているのでおおげさに見えるかもしれませんが、ここで大切なのは、お金を預けるだけではほぼ増えることはない、ということです。
預金の金利よりもはるかに大きい率で値上げが行われます。
しかもそれが日用品だったりするわけです。
結局、貯金をしていたとしても、インフレが続いているうちは家計はマイナスになってしまうのです。
お金を「貯める」から「増やす」ことを意識する時代になっています。
インフレ時代は「資産を増やす」ことがとても重要になります。
あとがき
「資産を増やす」ことに抵抗のある人は多いと思います。
それは結局、学校でお金に関する情報を扱うのがタブー視されていたからだったりします。
お金を増やすのは危ない、怪しいこと、という考えが先に出てしまうからです。
確かにリスクはつきものです。
それでも、現在の状況で預金に頼っている生活だけだと、それ自体が大きなリスクになってきます。
今後もこのあたりの話題をブログで発信していきたいと思います。
<著者プロフィール>
法政大学法学部卒業。
ファイナンシャルプランナー。行政書士。
「わかりにくいことをわかりやすく」をモットーに、生活に関する記事を書いています。