※商品プロモーションが含まれる場合があります

昨日、令和5年度の社会保険労務士(社労士)試験が実施されました。
試験を受けられたみなさん、本当にお疲れ様でした。

すでに各予備校が試験の講評などを動画で出しているので、試験問題そのものの内容や難易度はそちらで確認してもらえればと思いますが、それらの情報を仕入れた後に気になるのはやはり「合格基準点」ではないでしょうか。

社労士試験では「合格基準点」を選択式と択一式の両方でクリアしてはじめて合格となります。
この合格基準点は毎年変化するため、合格発表の日までその予想が盛り上がるわけです。

そんな合格基準点ですが、試験実施団体が適当に決めているわけではありません。
点数を決めるにあったては明確な「ルール」があるのです。
今回は、そのルールについて解説していくことにします。

  

 

合格基準の考え方

厚生労働省のサイト内に、社労士試験の合格基準の考え方について書いている資料があります。

『社会保険労務士試験の合格基準の考え方について』(厚生労働省の資料)

この資料にも書いてある通り、平成12年度の試験からはこの考え方に従って合格基準点が決められています。
この考え方(今後は「ルール」といいます)についてもう少し詳しくみていくことにしましょう。

難関資格試験の通信講座ならアガルートアカデミー

 

原則となる合格基準点

まずは原則となる合格基準点を確認しておきます。

<選択式>
総得点・・・28点以上 (40点中)
 →かつ各科目3点以上 (5点中)

<択一式>
総得点・・・49点以上 (70点中)
 →かつ各科目4点以上 (10点中)

このように、選択式択一式ともに、総得点では満点の7割が基準点として設定されています。

ただ、年度ごとに「試験の難易度の差」が生じることから、補正が行われます。

このルールが適用された平成12年から20年以上経過していますので、実際のところは、この補正のルールの方が重要になっています。

 

総得点の補正

厚生労働省のページでは3つほどルールが書かれていますが、とりあえずは次のルールだけ押さえておけば十分です。

<総得点の補正のルール>
・選択式試験、択一式試験それぞれの総得点について、
・前年度の平均点との差を少数第1位まで算出し、
・それを四捨五入し換算した点数に応じて前年度の合格基準点を上げ下げする

 

簡単にいうと、「受験者全員の平均点」を今年度と前年度とで比較して合格基準点を決めるということです。

実際に令和4年度の合格基準を使って解説します。

令和3年度と4年度の選択式試験の平均点は次のとおりでした。

<選択式>
令和3年度の平均点 21.8
令和4年度の平均点 24.6

令和3年度と比較すると平均点が2.8点上がったことになり、これを四捨五入して3点プラスの補正が行われました。
令和3年度の合格基準点が24点だったので、これに3を足した27点が令和4年度の合格基準点となったわけです。

 

択一式試験でも同様に補正が行われました。

<択一式>
令和3年度の平均点 32.3
令和4年度の平均点 30.9

令和3年度と比較すると平均点が1.4点下がったことになり、これを四捨五入して1点マイナスの補正が行われました。
令和3年度の合格基準点が45点だったので、これから1を引いた44点が令和4年度の合格基準点でした。

このように、前年度と平均点の差がどれだけあったかが重要になります。
そして、令和5年度の合格基準点のベースになる点数は令和4年度の点数です。
選択式では27点、択一式では44点がベースになり、これに令和4年度と平均点の差を加味して令和5年度の合格基準点が決定されることになります。

これ以外の2つのルールはイレギュラーが起こった場合の措置になりますし、補正しない場合もある不確定なルールになっているので省略しました。
このあたりは試験実施団体の裁量による部分ですので、検討の余地がないといった方がいいかもしれません。

 

科目最低点の補正

社労士試験は科目ごとの最低点というものが設定されています。
選択式では各科目3点以上、択一式では各科目4点以をそれぞれの科目でとっていないと、それだけで不合格になってしまいます。
俗にいう「足切り」というものです。

選択式の場合は5点中3点以上が求められることから、難しい問題が出題された科目があったときに3点取れないという事態が頻繁に起こります。
そのため、「補正が行われるのではないか」という話題が試験直後からよく湧き起こるのです。

この科目最低点の補正ですが、それもルール化されています。

<科目最低点補正のルール>
各科目の合格基準点(選択式3点、択一式4点)以上の受験者の占める割合が5割に満たない場合は、合格基準点を引き下げ補正する。

 

このように、全受験者の半数以上が各科目の合格基準点に届かなかった場合には合格基準点が引き下げられます。

例えば、選択式で3点以上取れた受験生が30%だった場合、基準点が2点に引き下げられることになります。
このときに2点以上取れた受験生が50%以上であれば2点になりますが、仮に2点以上取れた受験生が45%だったような場合には、さらに基準点が引き下げられ、1点となります。

択一式でこの補正が行われることはあまりありませんが、考え方は一緒になります。

このようにして極端に難しい科目があった場合に不公平にならないようにしているのです。

ただ、この科目最低点の補正ルールには例外が2つあります。
割と重要な例外になるので確認しておきます。

<科目最低点補正ルールの例外>
次の場合は、原則として引き下げを行わない。
① 引き下げ補正した合格基準点以上の受験者の占める割合が7割以上の場合
② 引き下げ補正した合格基準点が、選択式で0点、択一式で2点以下となる場合

 

先ほどと同じく、選択式で3点以上取れた受験生が30%だった場合で考えます。
原則では基準点を2点に引き下げることになるわけですが、2点以上取れた受験生が75%いるような場合には、例外①の基準により引き下げは行われず、原則通り3点となります。

こんなこと起こるのかとツッコミがありそうですが、実は起こりやすいものだったりします。
誰も答えられなそうな問題が5問中3問あって、残りの2問がどのテキストに載っているような基本問題だったような場合です。
このような問題だと、2点を取れる受験生は多いものの、3点以上取るのが極端に難しくなります。

基準点を下げた結果、差がつかない場合には補正しない、という考え方があるのだと思います。

例外の②はわかりやすいと思いますので説明を省略します。
これも、差がつかない場合には補正しないという考え方からくるものなのでしょう。

 

おすすめの記事