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働いていると、「有給」という単語を1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

「休日なのに給料を払ってもらえる、オイシイ制度!」
私が学生の頃アルバイトをしている時にはそう思ったものです。

働く側にとってメリットとなる「有給」の制度をしっかり理解している人は少ないと思います。
また、近年話題となっている「働き方改革」で改正された部分もあります。

そこで、今回は「有給」の基本的な部分をわかりやすく解説していくことにします。

 

年次有給休暇(有給)って何!?

これまで「有給」と書いてきましたが、正式には「年次有給休暇」という名称の制度です。
一般的には「有給(有休)」と呼ばれるが多いですが、労働法に携わっている人からは「年休」という略で呼ばれることが多かったりします。
結局のところ、「有給」「有休」「年休」のどれも、「年次有給休暇」のことを指しています。

年次有給休暇・・・労働基準法で定められている法定休暇

法定休暇というのは法令によって付与が義務付けられている休暇のことで、労働基準法という法律によって定められている年次有給休暇も法定休暇にあたります。

この休暇が法定されている理由は「心身の疲労回復」です。
休日以外にも休みを取ることによって疲労を回復させることが目的となっているのです。

そんな年次有給休暇ですが、取得率が低い状態が続いていました。
つまり、年次有給休暇を取得できるにもかかわらず取得しない労働者が多かったのです。

そこで、近年、働き方改革の一環として年次有給休暇を取得してもらうための改正がありました。
この点については後述します。

年次有給休暇は法定の要件さえ充たせば法律上当然に労働者に生ずる権利です。
これは本当に大事なポイントです。

一般的な有給のイメージとしては、有給を取る旨の請求を上司等に打診してOKをもらったら消化できる感じだと思います。
しかし、法律上当然に生ずる権利ですので、労働者側から請求することは要求されていません。
取得する時季については調整する必要があるものの(後述)、年次有給休暇は要件さえ満たせば必ず発生することになります。

付与要件

年次有給休暇が付与される要件を見てみましょう。

① 6ヶ月以上継続勤務
② 全労働日の8割以上出勤

6ヶ月以上継続して勤務していることが要件になっています。
その後は1年単位で継続勤務することが必要になります。
6ヶ月、1年6ヶ月、2年6ヶ月・・・といった具合です。

そして、その継続勤務期間の出勤率が8割以上あることも要件となります。
細かい説明は省略しますが、無断欠勤が多い労働者でもない限り、基本的にこの要件で引っかかることはないと考えてもらっていいです。

付与日数

年自由休暇の付与日数は以下の通りです。

6ヶ月   10日
1年6ヶ月 11日
2年6ヶ月 12日
3年6ヶ月 14日
4年6ヶ月 16日
5年6ヶ月 18日
6年6ヶ月〜20日

 

パートやアルバイトのように労働日数(労働時間)が少ない労働者については、この日数が変わります。
(週に4日以下、かつ、週の労働時間が30時間未満の労働者が対象になります。)
「上記の日数」に「週の労働日数を5.2で割ったもの」をかけることで日数が求められます。

原則として日単位で取得することになりますが、一定の要件のもとで時間単位の取得も認められます。
時間単位の年次有給休暇を与えるためには、労使協定が必須です。
また、5日以内に限られることや、労働者からの請求がなければ与えられないなどの要件があります。

時季の特定

要件を満たして発生した年次有給休暇は、次の3パターンで時期が特定されます。
労働基準法では「時季」という言葉になっていますが、時期と同じ意味と考えて構いません。

① 労働者の時季指定権の行使
② 労使協定による計画年休
③ 使用者の時季指定義務

 

①は労働者側から「この時期に特定します」とアクションを起こすものです。
労働義務が発生する前までに行うことが必要ですが、一定日数前までに時季指定を行うように就業規則で定めることも可能としています。

この労働者からの時季指定権ですが、事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者は、他の時季に変更することができます。(時季変更権)

②は1987年に導入された制度で、労使協定によって年次有給休暇を与える時季を定めることができるというものです。(計画年休)
労働者からの時季指定ができなくなるということでもあり、5日間については計画年休の対象になりません。

③は働き方改革の1つとして2018年に改正されました。
使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、5日については基準日から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければなりません。(時季指定義務)

この義務を果たさなかった場合には罰金が課せられます。
また、この規定によって年休を与える場合には、あらかじめ、労働者の意見を聴かなければなりません。

2年で時効にかかる!

労働者が消化していない年次有給休暇は、2年で消滅時効にかかります。(労基法115条)
つまり、持ち越しができる年次有給休暇は1年に限られるわけです。

例えば、10年以上勤めている場合、1年で20日が付与されることになりますが、これを消化しない場合、次の年にその20日を持ち越すことができます。
そして新たに付与された20日と合わせて40日の年休権を持つことになります。

さらに1年消化せずに過ごした場合、20日が消滅時効にかかってしまうので、前年分の20日と新たに付与された20日の合わせて40日が年休権となり、それ以上増えることはありません。

実際には前述した時季指定義務もあるので40日の年休権を保有する労働者は減っていると思われます。

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